<大会レポート>
初めてのシーズンの集大成として臨んだ湘南国際マラソン。これが人生二回目のフルマラソンということであることや、いつも練習で使っている国道134号線がコースということで、初回目ほどの不安はなかったものの、家族や先輩が応援に来てくれるということで別の意味での緊張感が半端なかったです。
今回の目標は、市民ランナーの一つの目標であるサブ3.5(3時間半切り、1kmあたり4分58秒のペース)に設定しました。
レース1週間前から4日前までは炭水化物をいつもより減らした状態で枯渇させておき、3日前から当日の朝にかけては脂質を抑え、タンパク質は通常か少し少ない程度に摂取した上で、炭水化物をとりまくるという、いわゆる「カーボ(Carbohydrate:炭水化物という意味です)ローディング」を行い万全の体勢で臨みました。
当日の朝は何を食べたかよく覚えてないですが、基本的には餅やご飯のようなものをレース3時間半前(A.M.5:30)に食べた後、1時間前くらいにはジェル状のエネルギー補給剤、アミノ酸などを摂取しました。
若干大会の規模をなめていて、近くに住んでるんだし気温も低いからギリギリに着くようにいけばいいよねと話をしていました。もともと時間に余裕がなかった上に、入り口が想定外に遠かったのでさらに時間がなくなってしまいました。
とはいえ、8時前(スタート時間はA.M.9:00)には会場内に到着し最後の準備を整えようと考えていました。さて、トイレでも済ませて待機列に並んでいようかなと思っていた矢先、もう一つ問題が発生。
空いてるトイレが、、、ない。
初めて出場した富山県の黒部名水マラソンが規模としてはそこまで大きくなく、フルマラソンで5,000人くらいだったこともありそこまでトイレには困らなかった経験からそこまでトイレ問題を意識していなかったのですが、今回の大会は大渋滞、、、
だからと言って行かないわけにはいかないのでとりあえず近くにあったトイレに二人で並ぶ。10個くらい横に並んでいる簡易トイレの前でだんだんと焦りが出てくる。
と言いますのも、
この湘南国際マラソン大会、参加者がかなり多いです。(フルマラソンだけで20,500名の方がエントリーされてます)そのため、事前にタイムを申告してそのタイム順に前からスタート場所が割り振られます。(おそらくAからGブロックまであって、僕たちはBグループでした。)しかしながら、スタートが西湘バイパス上である特性上、みんなが整列してから身動きを取るのはほぼ不可能です。
このような背景から、湘南国際マラソンでは例年、30分前までにグループごとに西湘バイパスの脇に集合し、30分前くらいになったら順に西湘バイパス上に整列することになっています。
つまり何を言いたいかというと、、、
仮にトイレに時間をとられて集合時間に間に合わないと、本来のブロックでスタートすることができず、最後尾グループでのスタート余儀なくされるのです。
湘南国際マラソンは、
- 参加者が多い(フルマラソンだけでも、20,500名の方がエントリーされてます)
- スタート地点である西湘バイパスの道幅がそこまで広くない)
これらの理由により、スタートブロックによってかなりスタート時間に差が生まれてしまいます。実際にGブロックからスタートした人のレポートによると、スタートゲートを通過した時間はなんと本来のスタート時刻であるA.M.9:00から20分後のA.M.9:20だったそうです。
確かに珍しくこの大会では、
グロスタイム(号砲から自分がゴールするまでの時間)ではなく、
ネットタイム(自分がスタートゲートを通過してからゴールするまでの時間)が公式記録として採用されているため、スタート時間が遅くなること自体はそこまで痛手じゃないじゃん!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、デメリットは多く存在し、
- この時期の朝はかなり寒いので普通に体が冷えてしまう
- なんだかんだでスタートゲートまでかなり歩く羽目になる
- (特にゆっくり走られる方にとっては)最初の関門がかなりシビアになる
- スタート直後に周りとのスピード差がある場合、抜かしていかなければならず、危険で時間のロスも多い
ことなどが挙げられます。(幸い僕たちはトイレをギリギリで済ませなんとかBブロックのスタート地点に滑り込みましたが、速い申請タイムをだせば出すほど前でスタートできるとあって皆さん割と強気の申請をしているせいか、初めの5kmは周りのランナーが想像以上に遅く、かなり時間を取られてしまいました。結果として最後まで自分たちのペースにあった集団を見つけることはできませんでした笑)
さて、いよいよスタートとなりました。寒さ対策で100均で買ったポンチョを被った状態で待機。スタート直前にスタッフの方に回収していただきました(本当にありがとうございます)。自分たちがスタートゲートを通過したのが手元の時計で3分30秒後でした。上でも述べましたが、想像以上に周りのペースが遅く、周りのランナーの危険にならないようにかなり控えめに抜かしていきました。
こういう理由もあり、最初の3kmくらいは大体1km4分45秒から4分50秒くらいかかりました。今回のレースプランとしては、基本的には1km4分30秒ペースで押せるところまで押していって力尽きたらそこから粘ってなんとか3時間半、みたいな割とざっくりとしてものでした笑
西湘バイパスを下りいつもの国道134号線に降り立ちました。ここから江ノ島まで一直線に向かいます。今回は、大会側が用意してくれているエイドに加えて自分たちで特製のドリンクを作製してみました。知り合いの方や家族に協力してもらい、10km、20km、30kmの地点でそれぞれドリンクを渡してもらいました。
これで二人分です。これをこれまた100均で買ったボトルに移し替え、完成したものがこちら。
おいしそうには見えないかもしれませんが、レース中に飲むと絶品なんです。これが。普段飲んだらとてつもなくドロドロしてて甘甘な感じなのですが、レース中にグリコーゲンが枯渇している状況下で体内に注入するとめちゃめちゃ元気出てくるんですよね。
ちなみにこのページの一番初めの写真はスタートから5km地点くらいの場所で撮ってもらったものです。めちゃめちゃ顔が横にデカく見えますが何らかのミスだという事にしておきます笑
この時は、最初の方で若干メンタル的に疲れたものの、ペース自体はとてもゆっくりしていたので余裕がかなりありました。
逆にここでこれだけタイムロスがあったからこそ「落ち着いて走ろう」と目標を超えたオーバーペースにならなくて済んだのかもしれません。
というわけで最初の補給地点である10km地点。自宅から海に出たところのすぐそばでした。この時はまだまだ余裕があったので遠くから手を振ることもできて、受け取る時にもしっかりした声で「ありがとう!」とお礼ができた覚えがあります。
10km通過:46分41秒
ここから江ノ島に向かいます。とここで相方にハプニング発生。紐が解けました。まだ序盤で余裕もあったので彼は一旦止まって紐をしっかり結び直した後、再び合流することができました。(後のことを振り返ってみると、これが彼にとって後々の疲労に繋がっていたかもしれません)
初めの5kmとかに比べるとペース自体はやや速くなったものの、リズムができてきて安定してきたこともあり割と余裕がありました。いつも走っている道に本当にたくさんのランナーとボランティアの方々がいらっしゃって、ありがたさのあまり泣きそうになってました笑
江ノ島の折り返しに近づくと、自分たちよりも早いランナーたちとすれ違う事になります。また、湘南国際マラソンにはこれまた本当に多くのペースランナー(目標のゴールタイムに対してぴったりなペースで引っ張ってくれる神々。どのレースでもこのペースランナーの周りには大集団ができ、とても目立ちます笑)が協力してくださっていて、彼らとの位置関係を確認することができます。3時間10分の集団とどのくらい差があるのかなーと思って確認したところすでに3分くらいの差(大体距離にして700mくらい)がついていてこれは無理だと思いました。
江ノ島の折り返しで約18km地点。この辺りからだんだんと足の疲労を感じます。お互い若干脹脛に違和感があったこともあり、一旦立ち止まってその場で脹脛を伸ばしました。
折り返して間も無く20km地点を迎えます。ここでもプチアクシデントが発生します笑
弟にお願いしていた20kmの給水地点に、姿が見当たらない笑
若干嫌な予感はしていたのでしょうがないから切り替えてカバーしていこうと思った矢先、後ろの方に自転車で追いかけてくる弟を発見。反対車線にいた&横断歩道なし、であったため反対側に自転車を置いて歩道橋で走ってドリンクを渡してくれました。感謝。
これを飲んでかなり回復して残りの半分強を楽しんでいくところです。
20km通過:1時間31分08秒(この10km:44分27秒)
ここから30km地点まではとにかく一番走り慣れた道を進んで、鵠沼から平塚の東端(湘南大橋を渡った直後)に向かいます。一番何もなかったのであんまり書くことはないですが、ここから30kmまでの10kmを良いペースでしっかり刻めたのが今回の勝因だったと思います。これまでは基本僕が相方を引っ張っていたのですが、この10kmは彼が波に乗ってきてかなり良いペースで引っ張ってくれました。おかげさまで30km時点の直近10kmのタイムは今回のマラソンの中では最も良いタイムになりました。
一つポイントを述べるとすれば、湘南国際マラソンのコースは基本的にフラットでとても走りやすいコースなのですが、キツい箇所が何箇所かあります。
- サザンビーチ付近(復路)
- 湘南大橋(復路)
- 西湘バイパス入口(復路)
これらは全て標高差的には大したことないのですが、後半で足が疲れて来るととてつもなく強大な敵に見えます(実際僕もこのあと3人目の強大な敵に叩きのめされました笑)
30km通過:2時間15分29秒(この10km:44分21秒)
30kmの通過(湘南大橋を渡ってすぐの高浜台の交差点のところ)の時点でかなり足に来ていました。フルマラソンは30kmの壁とよく言われるようにここから一気に疲労がきます。僕も例外では無く30kmを過ぎてからだんだんと足が重くなっていきました。ただ、バド部の先輩が応援に来てくれたりと元気が出るポイントがあったのでなんとかペースを維持して走ることができていました。
一方、相方の近藤はというと、30kmまでの調子の良さが依然として続いており、30kmの地点を過ぎたあたりからじわじわと離されていきました。
とはいえ、自分としてはこれが精一杯だったのでとにかくその先のゴールを目指して一歩一歩歩みを進めていきました。先程も申し上げましたが、このコースには最大の敵が30km以降に存在します。それが西湘バイパスです。西湘バイパスは本来自動車専用道路となっており、高架の形になっています。そのため、一般道から西湘バイパスに入っていくときに長い登りが待ち受けています。そこはもとからかなり警戒していたこともあり、若干足を攣りかけながらもなんとか登り切りました。
しかし、まだ敵は倒せていませんでした。
登りきったと思った直後、再度緩やかな登りが登場しました。元気な時はなんともない登りですが、この時の僕にとっては垂直と言ってもいいくらいの壁でした(それは流石に言い過ぎですかね笑)見た目がそうでもないこともありこれもなんとか乗り切れると思っていました。
しかしその時、
一瞬で全身の力が抜けたのです。
理由はわかりませんが、おそらく低体温になっていたことと、エネルギー不足などが主な原因でしょう。
立っているのもやっとでとりあえず中央分離帯に手をついて寄り掛かり、目を瞑って30秒程度瞑想しました。途中棄権も考えましたが、その直後に給水があったことと、この30秒が思いの外効果があったみたいでなんとか再び走ることができました。
とはいえ、相方の近藤との差もどんどんついていき、最後の折り返しのところでどのくらいの差になっているのかが正直怖かったです笑
そして最後の折り返し地点(二宮付近)に到達。
するとだいたい200mくらい前に近藤の姿が。折り返してきたときに少し言葉を交わすことができたのでその機会に「3時間10分切れるぞ!」という応援をしようかと考えていたのですが、こちらから声をかける前に彼の方から
「両足ピキッた」
という言葉が飛んできました。ピキッたというのは彼の言葉で「ほぼ攣った状態」のことを指します笑
こうなるとペースを上げることはかなり難しいので、もしかしたら追いついて一緒にゴールできるかもしれないという最後の希望が湧いてきました。
40km通過:3時間07分29秒(この10km:48分31秒)
そしてゴールまで残り1km弱あたりでしょうか。最後の最後で近藤に追いつくことができました。
ここまできたら一緒にゴールしたかったので、「ラスト振り絞れ!一緒にゴールするぞ!」という声をかけたのですが、やはり足がほぼ攣った状態で普通に走るのは無理だったようで先に行くことにしました。
結果として40秒くらい僕の方が先にゴールする結果となりました。
42.195km:3時間17分30秒(ネットタイム:3時間14分01秒)
今年始めたマラソンがこれほどまで早く走れるようになったことが嬉し過ぎたのと、これまでの練習を全て振り返って色々なものが込み上げてきました。
マラソンという競技自体がそもそも精神的、肉体的にもかなりキツい競技である上に、やるとなったら何事もムキになってしまう僕と一緒でとても大変だったことを考えると、ここまで一緒に頑張れる仲間は僕の周りだと彼くらいしか居ないんじゃないかなとこの時強く感じました。本当に人には恵まれた人生です。
写真の真ん中は忙しいのにもかかわらず僕たちの応援に駆けつけてくださった優しい優しい先輩です。
この後高校の時の部活のメンバーで夜ご飯も一緒に食べて最高の1日となりました(次の日に卒論のプレゼンがなければもっと最高でしたが笑)
やはり地元の湘南で走るマラソン大会は最高でした!来年は3時間を絶対に切るために練習頑張りたいと思います!
↓ゴール後の写真(会場にて)